トリガーポイント体操(TP体操)とは

 

 TP体操を簡単に説明いたしますと、筋に軽度の収縮と弛緩を交互に繰り返すことにより、筋ポンプ作用を活性化させ、血液やリンパの循環を促進させる有酸素運動と言う事ができます。

 

 TP体操を行なうと血液やリンパの循環がよくなり、マッサージを受けた時のように筋肉が柔らかくなります。
 

 また、TP体操を継続して行なうことにより筋血流の改善が期待でき、筋や筋膜のトリガーポイントに対しても、その活動を抑えることが期待されます。

 

 筋ポンプ作用による血流の改善を目的とした体操としては、エコノミー症候群の予防のために行なうフクラハギの運動(足首の関節を上下に動かす)が有名です。
 

 フクラハギの筋肉は、歩行動作により下半身の静脈血を上半身に押し上げ、全身の血液循環を促進させるため、第2の心臓と言われています。

   

 筋ポンプ作用による血液等の循環促進現象はフクラハギの筋肉だけでなく、他の部位の筋肉でも同様に発生いたします。
 

 そのためTP体操では、負荷の掛からない方法で様々な部分の筋肉を軽く収縮・弛緩させることにより、その部分の血液やリンパの流れを良くすることが可能になるのです。

   

 ところで、TP体操が他の多くの健康体操と異なるところは、一体何処にあるのでしょうか。

 

 TP体操は筋ポンプ作用の活性化と、それに伴う筋硬度の低下及び筋・筋膜トリガーポイントの不活性化を目的としています。

 

 そのため、負荷の掛からない状態で軽度の収縮と弛緩が、筋に滞りなく反復されるように設計されています。

 

 筋の収縮と弛緩が繰り返し行なわれることにより、筋ポンプが効率良く作動するのです。

 

 通常の健康体操では筋の持続的な収縮による筋力増強やストレッチに主眼が置かれているものが多く、筋の収縮と弛緩の関係について考慮しないため、筋ポンプの働きが制限されてしまうように思われます。

 

 以上、TP体操を筋ポンプ作用の一般的な知見から説明いたしましたが、TP体操実施後に筋硬度が低下する現象や筋・筋膜トリガーポイントの脱感作については、その神経生理学的な作用機序の詳細は現時点では不明な部分が多く、今後の研究に期待するところであります。